
レース切り絵先駆者 蒼山日菜とは
シェア
蒼山日菜とレース切り絵の旅
切り絵との出会い
2000 年、当時住んでいたスイスで、思いがけず、私は切り絵と出会いました。
スイス在住の日本人の友人が、楽しい趣味の1つとして切り絵を紹介してくれたのですが、当時はそのデザインがスイスの伝統的なモチーフだとは知りませんでした。私はアヒルと鹿の絵を選び、カーボン紙で紙になぞり、慎重に切り抜きました。
オリジナル作品への一歩
「もっと切り絵をしたい!」という意欲に駆られた私は、次第にカーボン紙で紙になぞる作業が面倒に感じ始めました。
子供の頃から絵を描くのが好きだった私は、妖精を始めとした切り絵のモチーフを、自分でデザインし、描くことにしました。それ以来、私はオリジナルのデザインだけを切り絵にしてきました。
スイスの切り絵
スイスで切り絵と出会ってから2 年間ほどが経った頃、私と友人はスイスの小さな町、シャトー・デーの切り紙博物館を訪れました。そこで、楽しんでいた切り絵がスイスの切り絵であることや、スイスの伝統的な切り絵はカッターとハサミの両方を使うことなど、スイスの切り紙の歴史について初めて知る事となりました。当時の私は、カッターを使うことに衝撃を受けましたが、その後も、今まで楽しんでいたハサミで切り絵を制作を続けることにしました。
グランプリ受賞
レースのように繊細な切り絵を制作するようになり、ヨーロッパでは「Queen of Paper」の称号を得ました。2007年には、スイスで開催された第6回トリエンナーレ・ペーパーアート・インターナショナル展覧会で、アジア人として初めて、また切り絵部門で初めて最優秀賞を受賞し、その歴史に名を残しました。この受賞により、日本のテレビやメディアにも多数出演し、蒼山日菜とレース切り絵を世に知らしめることとなりました。
代表的な作品と影響力
私の代表的な作品の 1 つは、レースのように繊細で緻密にデザインされた美しい羽を持つ蝶です。この作品はファッション業界や化粧品業界に影響を与え、世界的に蝶をモチーフにしたデザインの流行を巻き起こしました。多くの模倣があったにもかかわらず、私のデザインは多くの人々に喜びと美しさをもたらしました。
もう一つの注目すべき作品は、A4 サイズの切り絵用紙に約 30 行の文章を書き、その線を葉や花で繋いだ文字の切り絵です。この緻密な作品は、トリエンナーレ・ペーパーアート・インターナショナル展覧会などの数々の展覧会で常に賞を受賞しています。
「ヴォルテールの著作」から得たインスピレーション
フランスでの生活は大変でしたが、フェルネー=ヴォルテールという街に引っ越したことが転機となり、私は幸せな日々を送ることになりました。作品展に招待された時は、当時は珍しかったアジア人を受け入れてくれた、街の人々や土地柄の優しさに感謝しました。インスピレーションを受けて、街の名前にも由来する、フランスの哲学者「ヴォルテール」の代表作でもある「カンディード」の切り絵を制作しました。その作品はすぐに売れ、購入された方が、作品から伝わる励ましのメッセージに涙を流されたことは忘れられません。
アートが持つ癒しの力
作品を制作するなかで、私の感情が詰まった切り絵が、多くの人の心に響き、癒しを与えてくれることを知りました。アートは人の心に触れ、安らぎを与えることができるのです。切り絵をしながら脳波を測定したところ、初心者でも瞑想レベルの数値が示され、心を落ち着かせる効果があることが分かりました。
レース切り絵の旅
過去に辛い出来事や困難なことがあったとしても、切り絵の持つ、癒しや安らぎを与えるパワーを私は信じています。私は、この美しいレース切り絵の癒しのパワーを一人でも多くの人に伝え、届けるために、人々の心に触れる作品を教え、作り続けていきます。